「いのち輝く」がテーマの大阪・関西万博、で「いのち」が大発生しています。
SNSでは、大屋根リングの柱やにビッシリと虫がとまっていたり、大群を作って飛んでいる様子、パビリオン内にも入り込んでいる画像や動画が投稿されています。
この虫は主に「ユスリカ」。どんな生態を持つ虫なのでしょうか?
大発生しているのは「シオユスリカ」
生態
シオユスリカ(学名: Chironomus salinarius)は、ユスリカ科に属する昆虫の一種である。
北アメリカとユーラシアに広く分布する。成虫オスの体長は5.0–6.2ミリメートルで、体色は黒または暗褐色。汽水域に生息し、日本でもよく見られる。浅瀬の砂泥などで繁殖し、海水が流入する人工池などで大量発生することもある。
引用:Wikipediaより
ユスリカの大部分の種は幼虫が水生で、川、池などほとんどあらゆる淡水域に棲んでいる。
その種の中で、海の潮間帯(海と陸が接するところ)に生息するのが「シオユスリカ」です。
今回、大阪・関西万博で大発生しているのは、「シオユスリカ」と専門家により確認されています。
ユスリカの成虫は”蚊”によく似た大きさや姿をしていて、電灯の灯りなどにもよく集まりますが、蚊とは異なる昆虫です。
川や池などの水場の近くで「蚊柱」をしばしば作ります。

刺すの?刺さないの?
ユスリカは、蚊のように動物や人を刺したり、その血管を吸う事は有りません。
なぜなら、成虫は口器が無く、消火器も退化しているので餌をとることは一切できないからです。
刺さなくても油断禁物
ユスリカが人を刺さないとしても、アレルギー被害を受ける場合があるため注意が必要です。
ユスリカを抗原としたアレルギー性鼻炎や「ユスリカ喘息」と呼ばれる呼吸器疾患も知られている。これらの疾患は、大量発生したユスリカが交尾産卵して死滅した後、死骸が風化する過程の微細な粒子が、空気中に浮遊したり家屋内に堆積し、それらを人が吸引することで起こると考えられている。小型のユスリカでは、成体が直接眼や口に飛び込むことで炎症を起こす可能性もある
引用:Wikipediaより
発生場所はどこ?
シオユスリカは、潮間帯に生息するとありますが、今回の大阪・関西万博の場合は、ウォータープラザの「汽水域(海水と淡水が交わる)」と思われます。

万博で行われているシオユスリカ対策とジレンマ
大阪府の吉村知事は5月21日に行った会見で、府と包括連携協定を結んでいるアース製薬に協力を要請したことを明かした。それに対して、アース製薬は「虫こないアース 玄関灯・外壁に 450mL」などを提供したとの事です。
しかし一方で、今回の万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げており、それに紐付いた8つのテーマ事業も、「いのち」に関連するものです。
そのため万博ではあらゆる「いのち」を大切にするというコンセプトを貫いており、”殺虫剤による殺虫”には派手に動きずらい事情もあります。
この大発生はいつまで続くのか?
ユスリカの成虫は、気温が上昇すると活動が活発になることから、これからさらに大量発生することが予想されます。
特に気温が25℃以上になると、活性化するとされています。
夏の酷暑により一旦活動が収まる可能性も考えられますが、秋までは、つまり万博最終日までこの虫害に悩まされる可能性も充分ありそうです。
まとめ
「いのち」がテーマとした大阪万博が、シオユスリカの「いのち」の扱いに頭を悩ませる自体が起きました。
この昆虫の生態から発生源はかなり広く、また万博の持つテーマから、完全駆除することは難しそうです。
2025年10月13日の最終日まで、この問題が解決されない可能性もあるため、ある程度割り切るしかなさそうです。
因みに「蚊柱」は俳句では「夏の季語」だそうです。
- 夕立の来て蚊柱を崩しけり – 正岡子規
- 一つ二つから蚊柱となりにけり – 小林一茶