人はなぜ移動するのでしょうか?単なる行動手段としてではなく、「移動すること自体」によって私たちは本能的な喜びを感じるーーそんな人間の根源的な欲求を「移動本能」として捉えたのが、川崎重工の新たなロボット開発の出発点です。
2025年の大阪・関西万博で披露された四足歩行ロボット『コルレオ』は、この「移動本能」をテクノロジーで具現化した存在といえるかもしれません。まるで生きているかのように動き、人々の注目を集めるこの未来ロボットは、いったいどんな背景で生まれ、そして「いくら」するのでしょうか?
この記事では、川崎重工の技術力と理念が詰まった『コルレオ』の全貌を、親しみやすく、わかりやすくご紹介します。
『コルレオ』とは何者か?川崎重工が生んだ四足歩行ロボットの全貌
川崎重工のロボット開発史と技術的背景
川崎重工業株式会社は、日本を代表する重工業メーカーの一つであり、長年にわたり産業用ロボットや航空宇宙、鉄道、エネルギーといった多岐にわたる分野で実績を重ねてきました。ロボティクスの分野では、1970年代から自動車製造ライン向けの国内初産業用ロボットを手がけ、今では溶接・組立・搬送といった用途で世界中に展開しています。
2025年の大阪・関西万博において、川崎重工が新たに発表したのが、四足歩行ロボット『コルレオ(Corleo)』です。この名称には「core(核)」「leo(獅子)」という意味が込められていて、力強さと革新性の象徴として開発されました。
四足歩行という選択の意味とその利点
ロボットと聞くと、多くの方は人型(二足歩行)を想像するかもしれません。ですが、川崎重工が『コルレオ』で選んだのは「四足歩行」という形式です。これは、安定性と走破性能を重視した結果です。
四足歩行ロボットは、不整地や階段、斜面といった起伏のある場所でもスムーズに移動できるという大きな強みがあります。また、転倒のリスクが少なく、バランスを自律的に維持できるので、防災や警備、物流支援などの現場で特に活躍が期待されています。

スペック解説:サイズ・可動性能・AI機能
『コルレオ』のサイズは全高約1.2メートル、重さは約120kg、動力源は水素。搭載されているのは、川崎重工が独自に開発した制御AIと高性能な視覚センサー群です。
これにより、周囲の地形をリアルタイムで認識し、その状況に応じた最適な歩行パターンを自ら選択することができます。また、複数のモジュールを取り替え可能な設計になっており、警備用カメラ、荷物運搬用プラットフォーム、さらにはドローン発着装置など、多様なニーズに対応可能です。

名前の由来と開発チームのビジョン
「コルレオ」という名前は、開発チーム内で行われた投票によって決まりました。力強い獅子(leo)と、技術の中核(core)を象徴するこの名称には、「ロボットを社会の中心にする」という想いが込められています。
川崎重工の開発チームは、「人と共にあるロボット社会」を目指しており、『コルレオ』はその理想を形にする第一歩として位置づけられています。
大阪万博での初披露:設計思想と演出の裏側
2025年の大阪・関西万博では、川崎重工のパビリオン内で『コルレオ』が初めて一般公開されました。展示では、実際に歩く様子や障害物を避ける動き、さらには音声に反応して動作する姿が披露され、多くの来場者が足を止めて見入っていました。
「未来っぽさ」と「親しみやすさ」の両立が意識されていて、特に子どもたちが興味津々で見つめる様子が印象的でした。

『コルレオ』の価格はいくら?気になる開発コストと市場価値
現時点での価格情報は公開されている?
現時点では、川崎重工から『コルレオ』の具体的な販売価格については公式な発表はされていません。そこで、四足歩行ロボットというジャンルの特性から、おおよその価格帯を予測してみましょう。
例えば、同じカテゴリに属するBoston Dynamicsの「Spot」は、1体あたりおよそ7万5千ドル、日本円にして約1,100万円ほどで販売されています。この価格帯を一つの基準とすると、『コルレオ』も同等、あるいはそれ以上の価格になる可能性があります。
コルレオは公共インフラや防災など、過酷な現場での運用も視野に入れて設計されているため、より高耐久で高性能な部品が使われていると考えられます。したがって、プロトタイプ段階では1体あたり数千万円にのぼる開発コストがかかっている可能性もあります。
参考比較:Boston Dynamics「Spot」など他社製品との価格帯比較
現在市場に出ている四足歩行ロボットとして、以下のような製品があります:
- Boston Dynamics「Spot」:約1,100万円

- Unitree Robotics「Go1」シリーズ(Amazonなどでも買える小型ロボット):約50万円〜100万円(Amazonなどでも買える小型ロボット)

- ANYbotics「ANYmal」:約2,000万円(用途により変動)

これらと比較すると、『コルレオ』はスペック的には上位に位置することが想定され、少なくとも「Spot」と同等かそれ以上の価格帯に設定される可能性つまり1,000万円以上と予想されます。
研究開発費はどのくらい?推定コストから見る「未来への投資」
川崎重工が発表した資料によると、2025年大阪万博に向けたロボティクス関連の投資額は数十億円規模にのぼると見られています。これは単なる1体のロボット開発だけでなく、AI技術、センサー開発、通信基盤の整備、展示演出までを含む広範囲な取り組みです。
こうした大規模な開発には、相応の人員・時間・研究環境が必要となるため、1体あたりの開発原価は非常に高価になることが予想されます。ですが、これは「製品の価格」ではなく、「未来の社会インフラに向けた投資」と考えることができます。
一般販売されるのか?市場展開の可能性と課題
現時点では『コルレオ』の一般向け販売については未定ですが、将来的にはBtoB領域での導入が期待されています。具体的には、防災・警備・物流・工場監視といった業務分野での活用が見込まれています。
ただし、量産化に向けては以下のような課題があります:
- 高価格帯による導入ハードル
- 安全基準や法整備の未確立
- 導入先ごとのカスタマイズ対応
- アフターサポート・保守体制の整備
これらの条件が整えば、コルレオの価格も今後は徐々に抑えられ、用途ごとの導入モデルが用意されるかもしれません。
「買えるのか?」という問いに対しては、現時点では「業務用途を前提にした法人向け」と言えるでしょう。とはいえ、万博での反響次第では、生活支援やエンタメ領域への応用も夢ではないかもしれません。
まとめ
実際に大阪・関西万博でご覧になった方たちの反応です。
現地にどうしてもいけない方へ
現在、川崎重工の公式ホームページ内で「バーチャル会場」がお目見えしてます。
専用アプリのダウンロードが必要ですが、ご興味のある方はぜひご覧ください。
